株式会社ファイントゥデイホールディングス(本社:東京都港区、代表取締役CEO:小森哲郎)は、「Unlock the joy of beauty as Asia's No.1 fine toiletry company」を目指し、下記の通り2027年度までの期間を対象とした中期経営計画を策定しましたのでお知らせします。
記
1. 成長戦略
1)美意識を中心に据えた3つのコアコンピテンスの継続強化
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① Value Innovation:
生活者の期待を超える"ときめき"を持続的に提供する仕組みの構築 -
② Value Expansion:
各国・地域の風土慣習を尊重し、現地生活者に即した多様な"ときめき"を届けるためのローカルファースト(現地主導の意思決定を可能とする積極的な権限移譲)の実現 -
③ Value Optimization:
技術開発から生産、マーケティング、販売までの一連の機能(技・生・販)が一体となった最適なオペレーションの実現
2)ブランド別、地域別戦略の方向性
製品の機能的な価値提供のみならず、情緒や行動の変容をも促す独創的な美意識を体現するブランドの展開により、高い収益性の確保と長期安定的な事業成長を実現します。各ブランドの個性をさらに磨き上げ、世界中の人々に"ときめき"を届けることで強固な支持を獲得し続けます。
2030年に向け、既存ブランドは、育成による収益基盤の強化に加え、更なる収益向上に向けた潜在的な成長地域への展開と製品バリエーションの拡充を図ります。さらに、次世代の成長ドライバーとなる新規ブランドを継続的に立ち上げ、高価格帯への参入も企図することで事業成長を一層加速させていきます。
ヘアケア
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fino
日本のインバストリートメント市場でトップクラスのシェアを維持してきたヘアマスクを中核とし、幅広いニーズに応じた製品カテゴリーの拡張を図ります。日本国外の各国・地域でもシェア拡大を目指しながら、成長余地の大きい未開拓市場における新たな生活者との接点創出も追求します。 -
TSUBAKI
日本国内で高い認知度を誇るジャパニーズビューティヘアブランドを、プレミアムヘアケア市場の成長が期待されるアジア各国・地域にも一層浸透させていきます。
スキンケア
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SENKA
独自技術のミクロ美容泡が特徴のロングセラー洗顔料を、各国・地域の様々なニーズに応じた現地専用品としても展開し、生活者との接点を拡充します。また、2025年より本格展開を開始したメイク落としを、洗顔料に次ぐブランドの柱として位置づけ、育成していきます。 -
uno
男性美容市場の拡大を牽引してきたメンズグルーミングブランドとして、主力製品に加え、今後の成長ドライバーとなる新たなカテゴリーへの製品投入を推進します。戦略的な集中投資により短期間で顧客層の拡大を実現し、中長期的なブランドの成長を目指します。
ボディケア
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KUYURA
綿密な泡と独自の洗いあがりの心地よさが評価されるコア製品をリニューアルすることでさらに付加価値を高め、中国におけるシェア向上を目指します。また、製品カテゴリーの拡張を進めることで、新たな生活者との接点創出にも注力します。 -
エージーデオ24
日本では「ニオイ」に関する知見や技術で先行するリーディングブランドとして、成長著しいメンズ市場におけるプレゼンスをさらに高めると共に、未展開地域への展開も視野に入れ、ブランドの一層の成長を目指します。
3)業績向上の方向性
成長地域への展開強化をベースに将来的には各地域の売上構成を日本:3割、中国・香港地域:3割、APAC地域:3割、新地域:1割(3-3-3-1構想)とすることを目指します。
*APAC地域:当社グループが事業を展開する韓国、台湾、インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナム、シンガポール
この事業成長戦略を基盤として、事業拡大と高いマージンを両立させるProfitable Growthを目指します。
日本地域
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高付加価値に裏打ちされた戦略的な価格設定:
為替変動や原材料価格の高騰への対応に加え、伸長するプレミアム価格帯市場を捉え、新ブランド発売時及びリニューアル時に、製品の付加価値に応じた価格設定を行っていきます。 -
新たなお客さまとの接点創出を通じた売上成長:
他業界や社会貢献活動とのコラボレーションを通じ、新規顧客層との接点を創出します。また、お客さまの多様化するライフスタイルに寄り添うべく、自社ECサイトを活用し、顧客接点の拡充や利便性の向上を目指します。 -
投資効率を追求した安定的なフリーキャッシュフローの創出:
長年トップシェア製品を維持しているfino、エージーデオ24等のブランド力を基盤に、投資効率を追求しながら成長地域・分野への投資を可能にするフリーキャッシュフローを創出します。
中国・香港地域
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市場の成熟化が進む中、安定的に高収益を確保し続けるための改善施策の完遂:
日本を含む成熟市場のベストプラクティスをベースに、中国市場の特性に合わせたマーケティング施策の実施、経営管理手法の洗練化を図ります。 -
変化に対応したチャネルミックスの最適化:
オンラインは勃興するチャネルの選択と集中を行い、オフラインについても適切なパートナーを選択し、一級都市にとどまらずより幅広いエリアに向けて配荷を拡大していきます。 -
アジャイルな製品開発を通じたクイックマーケットイン:
生活者の趣向変化に機動的に対応するため、ローカルファーストを実現し、KUYURA等のブランドでODM(Original Design Manufacturing)等によるアジャイルな製品開発を行います。
APAC地域(東アジア*)
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韓国における着実な成長:
高い利益水準を維持しながら効率的な投資を行い、市場でのプレゼンスをさらに高めます。 -
台湾の収益構造の改善:
既存事業の収益構造改善に注力しつつ、新しい成長チャンスを積極的に取り込みます。
*東アジア地域:当社グループが事業を展開する韓国、台湾
APAC地域(東南アジア*)
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急成長を続ける東南アジア地域での既存ブランド拡大:
東南アジア地域におけるヘアケア市場の中で、特に大きな成長が期待されるプレミアムヘアケアカテゴリーであるTSUBAKI、finoの売上拡大に加え、利益水準の引き上げを目指します。
*東南アジア地域:当社グループが事業を展開するインドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナム、シンガポール -
未展開ブランドの投入:
東南アジア地域の高い市場成長を取り込むため、現地での高評価が広まったfino等のブランドを投入し、市場成長以上の売上成長を目指します。 -
ローカライゼーション製品開発:
現地生活者のニーズを捉え、現地拠点の意見を反映したローカライゼーション製品開発(ハラル認証を取得したブランド等)を進めます。
新地域
- 北米や中東等、需要が確認されている市場について、当社グループから供給できる体制を構築し、適切なマーケティング投資を行いながら展開を進めます。
4)収益改善の方向性
- バリューチェーン全体を最適化し生産リードタイム短縮によるバランスシートの合理化/効率化を行います。
- 技・生・販全体、全社にわたる固定費をコントロールしつつ、売り上げ拡大を行うことで、現行のバランスの取れた収益構造を維持しながらの成長、Profitable Growthを目指します。
- 製品仕様の標準化、安価代替原料を用いた処方開発等により原価を低減します。
- 久喜工場、ベトナム工場、ODM/OEM(Original Design Manufacturing / Original Equipment Manufacturing)それぞれの利点を生かした、最適な生産体制を構築します。
5)2028年度以降の成長
- 2027年度までに整備した事業基盤を活用して、新ブランドの開発や展開国・地域の拡大を加速させます。加えて、多様なニーズに対応した高付加価値製品の継続的な投入により、様々な成長機会を捉えていきます。
- 2030年度の数値目標として連結売上収益2,000億円、連結EBITDA340億円を掲げ、アジアにおける「グローカル企業」のロールモデルを目指します。
2. 財務目標
2027年度に2024年度対比で以下の成長を目指します。
2024年度 (実績) |
2027年度 (目標) |
年平均成長率 (目標) |
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連結売上収益 | 1,073億円 | 約 1,320億円以上 | 約7%以上 |
日本地域 | 462億円 | 約530億円以上 | 約5%以上 |
中国・香港地域 | 407億円 | 約450億円以上 | 約3%以上 |
APAC地域+新地域 | 203億円 | 約340億円以上 | 約19%以上 |
調整後連結営業利益*1 | 145億円 | 約190億円以上 | 約10%以上 |
調整後連結営業利益率*2 | 14% | 約15%以上 | - |
日本地域 | 27% | 約26%以上 | - |
中国・香港地域 | 25% | 約26%以上 | - |
APAC地域+新地域 | 9% | 約18%以上 | - |
調整後連結EBITDA*3 | 166億円 | 約220億円以上 | 約9%以上 |
調整後連結EBITDAマージン*3 | 15% | 約17%以上 | - |
調整後連結当期利益率*4 法人所得税費用は実効税率の概算値を使用しています。詳細は注記4をご参照ください。 |
8% | 約10%以上 | - |
Net Debt/調整後連結EBITDA 当社では最適な財務レバレッジを継続的に検討することとし、財務目標を上回るNet Debt/連結調整後EBITDA倍率の低減を目指すことも柔軟に検討してまいります。 |
4.1倍 | 約2倍以下 | - |
*1調整後連結営業利益 = 営業利益+一過性費用±為替差損益
一過性費用は、資生堂からのカーブアウト及びスタンドアローン化に係る費用やコンサルティングフィー等であり、製造販売元を資生堂から当社に変更することに伴い発生する表記の切替に関連する費用を含みます。なお、為替差損益は貸借対照表上の外貨建て資産の変動から生じる損益等を除外しております。
*2 調整後連結営業利益率 = 調整後連結営業利益/連結売上収益
地域別の利益率は、一部の本社費(共通費)について配賦前の営業利益(営業利益-その他収益+その他費用+一過性費用)を用いて算出しております。なお、日本地域及びAPAC地域+新地域の営業利益率については、製造部門(㈱ファイントゥデイインダストリーズ及びFT Industries Vietnam Co., Ltd.)における外部向けの受託製造等に係る営業損益を除いて算出しております。
*3 調整後連結EBITDA = 調整後連結営業利益+減価償却費
調整後連結EBITDAマージン = 調整後連結EBITDA/連結売上収益
*4 調整後連結当期利益率 = (調整後連結営業利益+金融収益-金融費用)×(1-実効税率)/連結売上収益
ただし、上記のうち金融費用からリファイナンスに関連する費用を控除しています。また、実効税率は推定値27%を適用して算出しています。この税率は、当社における課税所得の配分が日本50%、中国30%、APAC20%(これは当社の実際の税引前利益の配分と概ね一致します)であると仮定して算出した、当社が事業を展開する各地域における実効税率の加重平均(税引前利益に基づく加重平均)です。この税率は、会計上の実効税率とは異なるものであり、また、当社の事業運営のみに係る実効税率を正確に示すものではありません。なお、2024年度の調整後連結当期利益(実績)は81億円です。
*5 Net Debt = 各年度末の有利子負債残高-現金及び現金同等物
有利子負債は、長期借入金及び短期借入金の合計により計算されており、リース負債は含まれておりません。
*6 財務目標の前提とした想定為替レートについては、2027年度は1ドル145円、1人民元20.5円。また、財務体質の改善により金利負担が一定程度低減することを財務目標の前提としております。
*7 当社グループは、2023年度より国際会計基準(以下「IFRS」という。)により連結財務諸表を作成しており、財務目標はIFRSに基づき表示しております。なお、2024年度の実績は未監査のため、今後変更される可能性があります。
3. 資本政策
最適資本構成を目指し、ROE(自己資本利益率)やROIC(投下資本利益率)といった資本生産性指標を活用して、全社目標の設定を行います。具体的には、ROEは株主資本コストを上回る仕組みを構築し、ROICは負債コストと株主資本コストの加重平均であるWACCを上回る仕組みを構築することを目指します。
本資料は、当社の企業情報等の提供を目的としており、日本国内外を問わず、一切の投資勧誘又はこれに類する行為のために作成及び公表されたものではありません。また、本資料に記載されている当社の目標、計画、見積もり、予測、予想その他の将来情報、特に連結売上収益、調整後連結営業利益、調整後連結営業利益率、連結EBITDA、調整後連結EBITDA、調整後連結EBITDAマージン、調整後連結当期利益率、Net Debt/調整後連結EBITDAの各種数値の水準については、現在当社が入手できる情報をもとに、一定の前提(仮定)を置いてなされた本資料の作成時点における当社の判断又は考えに過ぎません。実際の当社の経営成績、財政状態その他の結果は、社会経済情勢、企業の動向、他社との競業、技術革新、規制環境、為替、その他経営環境等により、本資料の内容又は本資料から推測される内容と大きく異なることがあります。したがって、これらの将来に関する記述に全面的に依拠することのないようご注意ください。
以 上
■ファイントゥデイグループについて
ファイントゥデイグループは、2021年に資生堂のパーソナルケア事業から独立して創業しました。
私たちは、世界中の誰もが、素晴らしい一日を紡ぎ、いつまでも美しく、豊かな人生を送れるようにすることをパーパスに掲げ、その達成に向けて地球環境および社会の持続可能性と、収益性ある成長を一体化させて推進しています。
私たちのDNAに由来する美意識は、洗練されたオペレーション、独自の価値提供、グローカルな行動様式などに受け継がれています。
私たちは、世界中の人々にときめきを通じてウェルビーイングを届ける、アジアNo.1の日用美品の創造企業となることを目指しています。